2016/10/06

新たな課題も 市町村が頭を痛める側溝除染/福島県

2016年10月6日 福島中央テレビ
http://www.news24.jp/nnn/news86511817.html

復興には欠かせない除染。
県内では、道路の脇にある側溝の除染が進められている。
しかし今、国と自治体との間に「ある問題」が浮き彫りとなっている。
取材したのは、福島市で続いている放射性物質を取り除く除染作業の現場。

*記者リポート
「福島市で行われているのは、道路の側溝の除染です。比較的放射性物質が溜まりやすい場所です。ただ除染にはある基準が設けられていて、自治体も困惑しています」

除染が行われていたのは、道路の『側溝』。
福島市では、震災の年から側溝の除染に着手し、これまでにおよそ4割で完了しているという。
しかし、国が定めたある基準が、自治体を悩ませていた。

*福島市の担当者は
「ここは0.24マイクロシーベルトになっています。0.23マイクロシーベルト未満だと対象にならないと、除染の対象にならないというのです」

避難区域以外の自治体で側溝除染の対象になるのは、地表から1mの放射線量が1時間あたり0.23マイクロシーベルト以上の地点のみ。
それより下の地点は除染の対象から外れ、処理が滞っていた。
そんな中、先月末ある動きが…。

*今村雅弘復興相
「道路等側溝堆積物の撤去・処理を行う市町村等を、国や福島県がしっかり支援するとともに、市町村等に対して福島再生加速化交付金等による財政支援を行うこととしています」

国は、福島市やいわき市など、避難区域外の自治体からの要望を受けて、空間線量に関わらず、側溝除染の全額を『国費』で負担する方針を明らかにしたのだ。
しかし、0.23未満の側溝除染に簡単に踏み切れない新たな問題が…。

*福島市除染施設整備課・安藤善春課長
「これは仮置き場(の写真)になって、今収集運搬という形で除去土壌を持ってきて積み込んでいるという状況です。(側溝の除染土壌は)最終処分場、あるいは仮置き場に搬入ということになっていますが0.23未満の側溝除染…土砂は何処へもっていけばいいのか」

側溝の除染で出た土砂などは、まず自治体が設ける仮置き場に運び込まれる。
しかしその後、中間貯蔵施設などに移されるのは、国が定める基準値=1キログラムあたり8,000ベクレル以上の廃棄物のみ。

仮にいま、0.23を下回る地点の側溝を除染しても、その多くは、国の基準値を下回る見込みで自治体で最終処分することになってしまうのだ。

*福島市除染施設整備課・安藤善春課長
「(自治体での最終処分は)放射性物質を含んでいるという部分があって周辺住民の理解が得られないんじゃないかという風に思っています」

福島市では、0.23未満の側溝除染でおよそ6,300立方メートルもの土砂が発生する予定で、行き先が決まらないうちは、本格的に除染に着手できないという。

*福島市除染施設整備課・安藤善春課長
「市としては最終的に処分できないということではあって、国の方に中間貯蔵施設等に搬入できるように要望していきたいなと思っております」

そしてきょう、福島市に集まったのは、国や避難区域以外の33市町村の担当者たち…。

*復興庁・田中徹参事官
「対応方針の内容について、書いてあることはこういう意味だというのを一度、ご説明させて頂きたいと思います」

自治体からは、8,000ベクレル以下の廃棄物も国が最終処分すべきとの意見があがったが、国の反応は…。

*復興庁・田中徹参事官
「通常の処分ができるというのが環境省の考え方であるので、受け入れられる処分場がないか、マッチング作業をきちんとやるということです」

国は自治体からの要望は受け入れず、一緒に処分場を探すという回答に留まった。

住民の安心のためには欠かすことができない道路の側溝除染。
廃棄物の最終的な行き先は、一体、どうなるのか。

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