2016/09/09

福島)農民連、農家の被曝低減策を申し入れ 国や東電に

2016年9月9日 朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASJ97436DJ97UGTB004.html?rm=223

県農民運動連合会(根本敬会長)は7日、東京電力福島第一原発事故に伴う農業被害や賠償を巡り、「今も放射線管理区域(1平米あたり4万ベクレル超)に相当する農地が点在する」などとして、国や東電に対し、農家の被曝(ひばく)低減策や賠償の継続を申し入れた。

根本会長ら約百人が同日、東京・永田町の議員会館で経産省や農水省、東電側と交渉し、申し入れた。

農民連は今回、最高値で1平米あたり70万ベクレル超の実測値が出た桑折町内の農地の土壌汚染図を提出。

原子炉施設や放射線医療施設で居住や飲食が制限される管理区域に相当するにもかかわらず、農家対象の県のパンフレットでは「長袖、長ズボン、マスクの励行」や「土ほこりがたつ所での飲食を避けましょう」などの呼びかけにとどまっていると指摘。「被曝覚悟で農作業をしろということか」「農民をバカにしている」などと反発した。

そのうえで、チェルノブイリ被災地のように国の責任で「農地ごとの汚染土壌マップ作成」を求めた。

県内の酪農家や農民約100人が首相官邸前に集まり、「原発事故の賠償を打ち切るな」と抗議した
=東京・永田町

これに対し、国側は「担当者と検討して回答する」としたうえで、「空間線量の計測値から換算して土壌汚染濃度も推計できる」とし線量計の携行などの自己管理で被曝低減を図る現行の対策を説明した。

また、交渉に参加した相馬市の酪農家らは、牧草地除染でカリウムを大量散布した後、乳牛が相次いで病死したと訴え、農民連側は東電に賠償を求めたが、担当者は「(エサの変更は)原発事故に起因していることは承知しているが、因果関係はまだよく分かっていないところもあり、よく調べて対応する」とした。

県畜産課は今夏から、自給飼料投与後に病気が増えたという県内12戸で飼う412頭の乳牛を調査してきたが、カリウム施肥が原因であることを排除できなかった2戸6頭の病死例も含めて「同居牛の血液検査などから推定し、因果関係は認められなかった。原因は分からない」との見解を8日、明らかにした。そのうえで「草地除染や飼料変更も原発事故がなかったら必要なかった。被害を訴える酪農家に東電は誠意ある対応をしてほしい」(志賀茂・県畜産課長)という。(本田雅和)

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