2015/09/14

FoEより/IAEA福島レポートについて公開レター「被ばく、健康影響の過小評価は、将来に禍根を残す」

2015年9月14日 
http://www.foejapan.org/energy/news/150914.html

IAEAは福島原発事故に関する「事務局長レポート」をまとめ、各国語で公開しています。9/14からの IAEA総会で報告するとみられています。

IAEAはこの中で、「事故に起因する報告された甲状腺線量は一般的に低い」よって「事故に起因する子どもの甲状腺がんの増加は可能性が低い」、公衆は「典型的な放射線のバックグラウンドレベルによる年間線量よりも高くない年間線量を受けた」よって「放射線関連の健康影響の認識できる発生率増加が予想されない」などと結論づけています。

FoE Japanでは、とりわけ被ばくや健康影響についての問題点をとりまとめ、本日、公開書簡の形でIAEAに送付しました。
http://www.foejapan.org/energy/news/150914.html

書簡では「公衆の被ばく、健康影響に関して、政府が主張するデータのみを採用し、影響を過小評価するもの」とし、「日本政府が被ばく回避や健診の充実など、現在とるべき対策をとらないことを是認し、将来に禍根を残すもの」と指摘しています。また、具体的には以下の4つの問題点をあげています。

1.福島県で発生している小児甲状腺がんに関して、その発生状況など多くの重要な事実を見逃し、「事故に起因する甲状腺がんの増加は可能性が低い」と結論づけている。

2.不確かなデータに基づき、「被ばく線量が低い」と結論づけている。プルームや短半減期核種「など初期のデータはほとんど明らかになっておらず、甲状腺の初期被ばく線量評価は「わかっていない」ことを前提とすべきである。

3.「健康影響の認識できる発生率増加が予想されない」という根拠が不明である。

4.避難・帰還の基準として「年間20ミリシーベルト」という基準を使用し、使い続けた。政策決定にあたり、被災当事者や市民、低線量被ばくの影響に関して慎重な専門家の意見はまったく反映されなかった。このため、多くの人たちが、「自主的」避難を強いられ、あるいは避難を選択することができず、苦しめられた。報告書は、このような状況をまったく見落としている。

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