2015/03/15

愛知/放射能恐れ、故郷をあとに 避難者らが手記

2015年3月15日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20150316/CK2015031602000095.html

東京電力福島第一原発事故後、東海地方などへ避難した人でつくる「原発事故被害者支えあいの会」(事務局・名古屋市)のメンバーらが、今の心境を手記にまとめた。タイトルは「愛する土地を離れて~福島原発事故から4年 伝えたい想(おも)い~」。故郷を離れたときの葛藤、避難先で感じた不安などが切々とつづられている。

寄せたのは、愛知や静岡、京都などで避難生活を送る会員五十人のうち十九人。この四年で、気持ちの整理がある程度できた人だという。だが、その中には、匿名でしか語れなかった人や、文章を書くことができず、家族写真を寄せるのがやっとの人も。会員の半数以上は「まだ、つらくて向き合えない」と何も出せなかった。

会員の多くは、二十~四十代の子育て世代だ。『奇行とも受け取れる僕ら一家の(避難)行動によって、(故郷の)方たちとのコミュニティーが壊れるのが怖かった』『避難後は職が決まらないまま数カ月が過ぎ、気持ちもどんどん追い詰められた』-。放射能を恐れての東海地方への避難が、苦渋の選択だったことが分かる。

このほか、『再稼働しようとする東電を許しちゃいけない。自分にできる限りで戦っていきたい』と怒りをあらわにする人、『娘を初期被ばくさせてしまったことを考えると、今でも気が狂いそう。甲状腺検査は生きている限りは続く心配』と不安を吐露する人…。

一方で、『私が震災から学んだことを、東海の大地震の防災に生かすことが恩返し』と、前向きな言葉をつづる人もいた。

栃木県那須塩原市から避難してきた代表の井川景子さん(32)=名古屋市西区=は、原発再稼働への動きを踏まえ、「私たちだけでなく日本中の人が、もしかしたら同じ立場になるかもしれないと一緒に考えてほしい」と話す。

冊子は税込み千二百円。会の専用サイトで販売する。問い合わせは、同会の岡本さん=電070(5259)1842。受け付けは午後三~八時。




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