2014/10/30

放射能のこと話そう つくばの女性ら記録映画会へ/茨城


 東京電力福島第一原発の事故で飛散した大量の放射性物質。身近で話題になる機会は減ったけど、もう終わったことなの? まずは現実を知ろうと、つくば市の女性たちが記録映画の上映会を企画した。映画の後にコーヒーを用意して「放射能のこと、一緒に話そうよ」と呼びかける。

 住宅地の除染の様子や、放射線量の測定機器がある保育園の風景、妊娠・出産へのためらいを語る若い母親たち――。福島での日常生活の様々な場面が、スクリーンに映し出される。

 マイクを向けられ「心配からは、逃れられない」と顔を曇らせる大人と、「周りの子、ほとんど気にしていないよ」と打ち明ける女子高生。甲状腺に異常が見つかったという男の子は「病気になりやすくなる……」とつぶやく。

 ドキュメンタリー映画「A2―B―C」。タイトルは、福島県が実施している子どもの甲状腺検査で、何らかの異常ありと判定されたことを示す記号だ。カメラは、子どもたちの表情を追いながら、福島の現実を切り取っていく。

 映画の評判を聞き、ぜひ自分も見たいと思った女性たち25人が、上映実行委員会をつくった。代表の小森谷佐弥香さん(40)は「隣の県でこれだけ苦しんでいる人たちがいるのに、茨城だってよそ事じゃなかったのに、忘れちゃってる。まずは思い出さないと」と、みんなの思いを代弁する。

 映画では、住民が「原発事故後に鼻血が出た」と証言する場面もある。医学的には異論が向けられる部分だが、映画はその検証には踏み込まず、証言を並べていくことで不安と背中合わせの日常を描く。「不安を不安だ、と口にできない状況はおかしいと思う。放射能の話題を出すとみんな引いてしまうけど、それでいいんでしょうか」と小森谷さん。

 子育て中の母親が参加しやすいように、上映日程は午前中を中心に計画した。放射能問題の理解を深めるためのパネル展示なども準備している。

 日程は次の通り。

 11月26日午前10時半、「もっくんカフェ」(つくば市梅園2丁目)。1ドリンク付き千円▽28日午前10時半と午後7時、29日午前10時、「つくばサイエンスインフォメーションセンター」(同市吾妻1丁目)、500円。各回とも上映中の託児は1人300円で要予約。申し込みはウェブサイト(http://a2bc-tsukuba2014.jimdo.com)からメールで。問い合わせ先は小森谷さん(090・7630・8045)。


http://www.asahi.com/articles/ASGBX5FY4GBXUJHB01P.html
2014年10月30日
朝日新聞

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