2014/07/12

食材 刻まず放射能測定

朝日新聞
2014年7月11日13時14分

http://www.asahi.com/articles/CMTW1407110400001.html

市民から託されたフキの放射能を測る福島市職員=福島市桜木町の市放射線モニタリングセンター
 食材を刻まずにそのままの形で放射能濃度を測る装置が、福島、宮城両県で広がっている。東北大の専門家が指導し、地元企業が協力して開発した。自治体の放射能測定所に置かれ、家庭菜園の野菜などを持ち込む市民に歓迎されている。

 福島市桜木町の市放射線モニタリングセンター。同市森合の大内ユウさん(74)が自宅の庭で採ったフキとウルイを持ち込んだ。

 受け取った市職員が縦横30センチ、高さ20センチの金属製の容器にそのまま入れ、待つこと5分。測定結果は「1キロあたり20ベクレル未満」。流通品で出荷制限となる基準値(1キロあたり100ベクレル)を下回った。大内さんは「安心しました」。炒め物やおひたしにして食べると話し、笑顔を見せた。

 スーパーなど店頭に並ぶ食材は、自治体や業者の放射能検査で安全性がチェックされているが、市民が採る山菜や野菜は対象外だ。

 市民からの要請を受け、福島市は2011年11月から持ち込まれる食材の測定を始めた。12年度は約3万点、13年度は約2万2千点を調べた。

 ただ、従来の装置では、測る際に食材を細かく切り刻む必要があり、測定後に食べることは難しかった。市環境課は「山菜やご近所でやりとりした食材など、少量しかないものを刻まずに測りたいと市民から要望があった」と説明する。

 そこで市の担当者は、放射能汚染対策で協定を結んでいた東北大に相談。石井慶造教授(放射線工学)の技術指導を受けて、精密機器メーカー「日栄工業」(福島市)など福島、宮城両県の企業3社が「丸ごと放射能測定装置」を開発した。1台約300万円。内部に7個の検出器を備えて感度を高めた。食材一つにつき700グラム以上あれば、刻まずに測れるという。

 福島市は、昨年10月から26測定所のうち10カ所に1台ずつ設置。今年4月には13カ所に増やした。

 その結果、4月の山菜の測定数は昨年の2・5倍の943件に増えた。市は今後、新しく数カ所に設ける方針だ。福島県も同様の装置を県内の市町村に約80台配置する計画。県消費生活課の担当者は「キノコの収穫期にあたる11月上旬までに導入したい」と話す。東北大もデータ蓄積などを目的に6台を購入。宮城県石巻市の漁協や同県丸森町のタケノコ生産者などに貸し出している。

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