2012/01/27

【拡散】食品中の放射性物質対策(新・食品安全基準値)に関する東京説明会の報告とパブリックコメント募集(2月4日締切)の案内

昨年暮れに厚労省と食品安全委員会より、今年4月から新しく施行される食品安全基準値の設定に関する「食品に関するリスクコミュニケーション~食品中の放射性物質対策に関する説明会~」告知があり、1月16日(月)に子ども全国ネット有志で東京会場での説明会に参加しました。



開催地
開催日
申込締切(必着)
会場
東京都
平成24年1月16日(月)
終了しました。
申し込みは締切りました。
星陵会館
(千代田区永田町2-16-2)
福島県
平成24年1月24日(火)
終了しました。
申し込みは締切りました。
コラッセふくしま
(福島市三河南町1-20)
福岡県
平成24年1月31日(火)
申し込みは締切りました。
アクロス福岡
(福岡市中央区天神1-1-1)
宮城県
平成24年2月6日(月)
平成24年1月30日(月)
仙台市戦災復興記念館
(仙台市青葉区大町2-12-1)
岩手県
平成24年2月10日(金)
平成24年2月3日(金)
盛岡市民文化ホール
(盛岡市盛岡駅西通2-9-1)
愛知県
平成24年2月20日(月)
申し込みは締切りました。
愛鉄連厚生年金基金
(名古屋市中村区黄金通1-18)
大阪府
平成24年2月28日(火)
申し込みは締切りました。
新梅田研修センター
(大阪市福島区福島6-22-20)

宮城県・岩手県においては、、まだ説明会への申込みができるようですので、ご参加いただける関係者や団体がありましたらぜひご参加下さい。
申込先:応募フォーム<https://comm.stage.ac/foodsafety_tour2012/>

※このブログでの報告を福岡県以降の説明会開催地での質疑応答にもお役立ていただければと思います。

~同時にパブリックコメントも募集中~
また、「新しく施行される食品中の放射性物質にかかる基準値に関するパブリックコメント(略称:パブコメ)」が1月6日~2月4日まで募集されています。説明会に参加できなかった方、ご意見をお持ちの方、昨年8月に募集された食品放射能暫定規制値へのパブコメは3000通以上が集まり、マスコミにも取り上げられ、国としても無視できない大きなうねりとなりました。


今回のパブリックコメントの集まりが少なければ、国民の意識が薄れていると解釈されかねません。食の安全に向けて国民の意識が依然高いことを国にむかって発信する意味でも、ぜひパブリックコメントを提出いただければと思います。
 送信フォームの件名に、食品中の放射性物質に係る基準値の設定と書いて下さい。





~食品中の放射性物質対策に関する説明会~の報告
 議事次第
日 時:平成24年1月16日(月) 13:30~16:00 
場 所:星陵会館ホール (千代田区永田町)
議 事:

1 開会挨拶 厚生労働省医薬食品局食品安全部長 三浦 公嗣 


2 情報提供 (以下の4名が10~15分くらいで添付の資料を手短に説明)
   ①食品中の放射性物質による健康影響について 
      内閣府食品安全委員会  委員長代理 熊谷 進
資料1:食品中の放射性物質による健康影響について[PDF:861KB]

   ②食品中の放射性物質の新たな基準値について 
      厚生労働省医薬食品局食品安全部 
      基準審査課長  森口 裕
資料2:食品中の放射性物質の新たな基準値について[PDF:1,991KB]

   ③食品中の放射性物質の検査について 
      厚生労働省医薬食品局食品安全部 
      監視安全課輸入食品安全対策室長  道野 英司
資料3:食品中の放射性物質の検査について~現状と今後の取組み~[PDF:1,334KB]

   ④農業生産現場における対応について 
      農林水産省生産局総務課生産推進室長 安岡 澄人
資料4:農業生産現場における対応について[PDF:1,002KB]

3 意見交換

4 閉会


●新基準値が驚異的だった暫定基準値の5分の1だからと安心して大丈夫?


食品からの内部被爆だけで生涯100msvは安全という前提で基準値が設定
昨年8月2日の広く国民に呼びかけられた「放射性物質に係る食品健康影響評価についての会議」では 外部被爆と内部被爆の合計が生涯100msvになるよう基準値を見直していくとなっていたのに、その後、食品安全委員長の談話で食品からの内部被ばくのみで生涯100msvを基準に見なおされることになりました。


これは、呼吸による内部被爆も、事故前と比べて上昇している空間線量や次々見つかるホットスポットから受ける外部被ばくも考慮されていません。一生涯100msv未満(これは癌や白血病のリスクがないとされている値で、低線量被爆における影響は含まれていません。)これなら安全という見解にもとづいて、今年4月からの基準値が施行されようとしているのです。


②生涯100msv未満の低線量被爆への見解(100msv未満は安全だとみなされるのか?)
100msv以上というのは癌・白血病が明らかに増えるとされる数値であって、チェルノブイリで見られるような、免疫力や体力の低下、流産の増加などといった低線量被ばくが原因とされる症状に関しては、疫学調査の結果がないということ(疫学調査は何万というデータの証明が必要)、また低線量被ばく論文やデータ(バンダジェフスキー氏の論文など)においては統計手法に問題・線量が不確かなどの理由で正式な研究成果とみなされない、という委員会からの答弁がありました。
一方、昨年12月28日のNHK・ETVで放映された、追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」では核産業からの要請を受け、ICRPが100mSV以下の低線量の影響を二分の一にしていることが、元ICRPの米国人委員の証言により明らかになっています。

質疑応答では
■参加者:「生涯100msv以下は安全と捉えているのか?」
●主催側:「(統計的に)言及困難」


■参加者:「放射能のリスクは癌や白血病だけではない、低線量被爆におけるぶらぶら病のような症状に始まり、チェルノブイリ事故後に報告されている症状をどう捉えるのか?」
●主催側:「やはり、低線量被爆には言及できない、しかるべきところでリスクを踏まえ管理をしていくことになる。」

そんな無責任な・・・低線量被爆に関しては、気にする人の自己防衛にゆだねられるってこと?

説明会で厚労省の方は、マーケットバスケット方式だ、コーデックス委員会の国際的考え方との整合性を根拠に基準値を設定したと説明されていましたが、低線量被ばくの危険性を全く無視した基準値は受け入れがたいと思います。


 ③水産物への言及なし
新しい基準値の中には、また説明会資料の中にも、まだ調査段階であり、生物学的濃縮率における危険性や、東京湾でのホットスポットが見つかっていることが問題視されているのに、水産物に関しての説明は一切なく、この説明会に水産庁の人が同席してないことへも参加者から批難の声が上がっていました。水産物への言及があまりにもなさ過ぎる違和感を感じました。


④新しい基準値の「一般食品」の考え方~限度値の盲点~
 ●資料2の7ページ (図の抜粋)

すべての年齢区分の限度値(年齢区分別の食品の摂取量と換算係数から導き出される数値で小さい値ほど厳しいとされる)のうちもっとも厳しい値から全年齢の基準値として決定したそうですが
意外にも限度値が一番小さいのは13歳~18歳の男子でした。社会的には乳幼児が影響を受けやすいといわれていて、小さな子どもをもつ親ほど気にしているようですが、食べ盛りの子どもを持つ親への注意も必要ではないでしょうか。


注意:米・牛肉・大豆に関しては新基準値施行までの経過措置が設定。
・米・牛肉に関しては今年9月30日まで今までの暫定規制値が適応
・米・牛肉を原料に今年9月30日までに製造・加工されたものは賞味期限内まで流通可能

・大豆は今年12月31日まで暫定規制値が適応
・大豆を原料に今年12月31日までに製造・加工されたものは賞味期限内まで流通可能

・上記3種以外の加工食品は3月31日までに製造・加工されたものは賞味期限まで流通可能

この猶予時期は市場における混乱を避けるためのものと説明されていましたが、暫定
基準値500未満のものと新基準値100未満のものがお店で同時に並ぶこれが混乱を招かないというのでしょうか?参加者からは「誰のためにもならない。」「新しい基準の即実行を求める。延期はありえない」といった声があがっていました。

⑥給食基準値は必要なし?

放射能の影響を受けやすいとされ、健康で明るい未来が保証されるべき子どもたちの給食に関して、自治体における検査などで基準値以下ではあっても放射性物質の検出報告が相次ぎ、すでに引き起こしてしまった汚染牛の流通による給食への使用など、親が抱く不安を度外視し、統計や数値的なものだけで、一般食品とおなじものとして扱われてよいものでしょうか。こうした親や子どもの不安といった感情に対しても考慮していくのが本来のリスクコミュニケーションのあり方ではないのでしょうか?


ほかに上がっていた質疑応答
・今後の事故があったときの基準値もこれを適応するのか?
ヨウ素に関してはどうする? →この基準は今回事故のもの

・干ししいたけは水に戻して計ったものを測定とあるが、主婦的には干ししいたけの戻し汁も出しに使います。→参考にしますとのこと。的確な答えはなし

・お茶でもたベるお茶や抹茶はどうする?→これらは食品とみなし100bq/kg



・このところ特定地域・特定品目からでないとかなり高い数値は報告されていないように思うが
基準値がいくら5分の1とはいえ100bq/kgにされる意味が分からない。もう少し下げて欲しいという意見が消費者・流通業者から出ていました。


・事故後の国の対応や暫定基準値の長期化もろもろ、消費者・生産者の間では国や食品に関する不信感が高まっています。統計やデータで納得させるだけでなく、産地公開を都道府県表示よりも詳細にし、生産地ごとの測定の充実をはかるなど、生産者・消費者ともに安全で安心した生活ができるような体制づくりも充実させて欲しい。


~今回の説明会に参加した人のfacebookでの報告~
【報告】1/16に参加した厚労省 食品安全委員会主催「食品に関するリスクコミュニケーション」。
各地から来たお母さん達(ツワモノ揃い)、流通業、食品メーカー、農家の方などの質問や抗議に何ひとつ納得のいく回答が出せなかった委員と役人達。


・食品だけで年間1mSv?外部被曝や呼吸による被曝は含めない?
・低線量被曝は科学的知見がないといって無視?
・子どもの健康被害よりも流通させることや経済優先?


・100mSv以下は癌リスクが認められないって言い切りましたね。
私達は癌リスクだけを言っているのではない。
子ども達の可能性を少しでも狭める要因があるなら予防原則に則って限りなくゼロを求める姿勢を示すのが本当の意味での食品安全委員会では?


・食品にはもともとカリウム40がたくさん含まれてるって?
これは濃縮・蓄積しません。人類始まって以来、進化し、適応してきたもの。


・自然放射線との比較?
またインドのケララ地方の話だー。“放射線”の比較では意味がない。
“自然放射性核種と人工放射性核種”との比較をお願いします。
放射性セシウムの生物学的半減期の説明では排出されるから大丈夫だとでも言いたいのだろうが、体内で濃縮され蓄積され、さらにその間の挙動を考えたら「そっかー、安心だね」なんて思えるわけないでしょ。出来ればストロンチウム90も記載して下さい。


・ICRP勧告の勝手な拡大解釈。何をねぼけているのか。
風評被害がうまれるのは高い基準値のせいだと流通の方も農家の方も言ってる。
あれでやり過ごしたつもりなのだろうか。誰ひとり自分の言葉で話していない。委員長代理、質問と回答が全く合っておりませぬ


・11/12/28、放送された「NHK 追跡!真相ファイル」で暴露されたICRPの実態。低線量リスクのデータを改ざんし、内部被曝を軽視している、そのICRP勧告の水準にすら全然届かない日本の現状。これをライブで拝見しました。

2 件のコメント:

  1. リスクコミュニケーションでいろいろな声が上がっている様子がよく解かります。

    しかし、いまひとつ国側の理論建てを「ここがおかしい」としっかり反論できるような意見が出ていないような気がします。

    今回の新基準値の重要な点は二つ。

    1.食べる食品が汚染われている割合は50%まででそれを上回ることは絶対に無いと決め付けて基準値が設定されていること。この考え方は今までの食品衛生法の考え方(汚染割合は100%と想定する)とは異なり、今回初めて導入するものだと厚生労働省自身が認めて発言しています。

    2.内部ひばくと外部ひばくを併せて考慮することは重要であり、かつ、厚生労働省は全く考えていない。これも厚生労働省自体が認めており、しかも強調しています。

    こうしたおかしな話は放射線審議会の議論の中で公に明らかになっています。

    私のブログに解かりやすく内容をまとめているので是非読んでください。

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  2. touten2010様
    放射線審議会の詳しい内容のブログの紹介ありがとうございます。こちらのほうもパブコメへの参考にさせていただきます。

    16日はリスク回避のための建設的な会でなく、一方的な統計と平均値の発表会のような、参加者と思いが通い合わない違和感を覚えた説明会でした。
    全国ネット事務局 いでら

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